文化庁は26日、「飛鳥美人」などで知られる高松塚古墳(奈良県明日香村、7世紀末~8世紀初頭)の石室壁画(国宝)の修理を完了したと発表した。2007年から石室を解体した上でカビなどの表面の汚れを取り除き、石に塗られたしっくいを補強。1972年の発見時の極彩色を完全に取り戻すまでには至らなかったが、一定の成果は残した。
石室には「飛鳥美人」を含む男女群像のほか、四神像や星宿(星座)図などが描かれていたが、01年以降に石室内でカビなどによる劣化が確認された。修理は、古墳近くに仮設の施設を作り、東京、奈良の両文化財研究所が分担。日本画修復の専門家「装こう師」がカビなどを丹念に除去し、酵素や紫外線を応用した新技術も採り入れた。08年度以降で計27億円が投じられた。