ニュージーランドの労働党連立政権が歴史に残る快挙を成し遂げました。ジャシンダ・アーダーン首相が中心となり、世界初となる「幸福予算」を国家予算に組み込むことを発表したのです。これは、限られた資金を、国民の幸福を高めるために使うというものです。
中でも、精神疾患、子どもの貧困、家庭内暴力(DV)の三つの問題に多額の予算を当てる予定です。
この案は、数十年に及ぶ個人の幸福について追求した研究を参考にしたものです。人間の幸福を高める要素と損なう要素について重大な事実を発見したノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマン氏と故アラン・クルーガー氏もこの研究に貢献しています。
社会政策においては、カーネマン氏とクルーガー氏は二つの提言を行っています。一つ目は「心の健康維持に国が介入すること」つまり不満を感じ、鬱屈(うっくつ)した状態で生きている人々を支援することです。二つ目は「国民の時間配分」に重点を置き、特にストレスを感じる行為(多額の交通費がかかる通勤など)を避けられるような仕組み作りを支援することです。