高杉は約2カ月の上海訪問を終えて長崎に帰国するや、当時オランダが売り出していた蒸気船を長州藩に無断で購入しようとし、勝手に契約を結んでしまいます。上海で目の当たりにした西欧列強の軍事力と、同行した五代から薩摩藩が既に蒸気船を購入していると聞いたことが、高杉を蒸気船購入に走らせたと言われています。
この契約は結局オランダ側がキャンセルしたことで流れますが、高杉の先走った行動には長州藩内で非難が相次ぎました。しかし当の高杉はというと、「何も分からない役人どもめ」などと憤懣やるかたない愚痴を仲間にこぼしたと言われます。