先進国を中心に新型コロナウイルスのワクチン接種が進む現状について、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は18日、途上国との間で分配の不平等が起きていると懸念を示した。「世界は悲惨な道徳的失敗の危機に瀕(ひん)している」として、先進国や製薬企業に公平なアクセスへの貢献を求めた。
この日始まったWHOの執行理事会であいさつしたテドロス氏は、WHOなどが主導する、ワクチンを共同調達して途上国にも公平に分配する枠組み「COVAX(コバックス)ファシリティー」で20億回分を確保できるめどが付き、2月からワクチンの供給を始められる見通しだとした。一方、一部の先進国は自国分をまず確保するために製薬会社との二国間の取引を進め、ワクチン価格を押し上げている、と苦言を呈した。