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リヒテンシュタイン候フランツ1世

2021/01/27
リヒテンシュタイン候フランツ1世

 カールがかかったブロンドの髪を肩まで伸ばし、大きな瞳で画家を見つめるのは、少女のような美しさをもつ8歳の少年貴族。

 フランツ1世は、1853年にアロイス2世の11番目の子供として生まれ、2つの大学で法学を修めて軍人の道に進んだのちオーストリア、ロシアで外交官を務めた。その後、ウィーン大学で歴史の講座を開くなど、学問の世界で活躍、内外から多くの顕彰を受ける人物となる。

 兄のヨーハン2世の死去にともない70代半ばで国家元首となったとき、少年は白いひげを豊かにたくわえた恰幅(かっぷく)のよい老人となっていた。即位した1929年に、兄から交際を反対されていたエルザ・フォン・グートマンと結婚。彼女は福祉活動などに尽くし領民たちに慕われたが子供がなかった。そのため、死の少し前に元首の座を親戚のフランツ・ヨーゼフ2世に譲り、大往生を遂げた。

 少年貴族の像からは、そうした英知とロマンスの香りが立ち上ってくる。